説明
原典の精髄を忠実に翻刻
変わらぬ形で令和の世に蘇る『圍碁發陽論』の全貌
『圍碁發陽論』は、囲碁の研鑽に励む者にとって、時を超えて燦然と輝き続ける最高峰の詰碁集である。1713年に井上道節因碩先生によって完成されたこの伝説的な作品は、「不断桜」とも称され、その深遠な内容と難解さで知られている。
井上家によって門外不出とされたこの書は、当時としても容易には目にすることができない、非常に貴重な存在であった。
現在では原本・版本のほとんどが失われており、成田山仏教図書館所蔵の『圍碁發陽論 全』(荒木直躬先生寄贈)が、発陽論の版本として現存する唯一のものとされる。
しかしこの書の状態は極めて危うく、虫食いや傷みは深刻で、閲覧には困難を伴う状況である。
現在までに「発陽論」とされるものは何冊か出版されているが、私たちの使命は、井上道節因碩先生の『圍碁發陽論』の全貌を、そのオリジナルの形のまま現代に甦らせることであった。
成田山仏教図書館所蔵のオリジナル版を底本とし、虫食いや損傷による判別困難な箇所を丁寧に読み解き、出版時と同じ出題図・配石で再現したものが、本書『圍碁發陽論 全・令和翻刻版』である。
本書をオリジナル版の代替書物として、発陽論の今後のさらなる研究にご活用いただければ幸いである。
A5サイズ(全85ページ)/上製本(布張り/金箔押し)/ブックケース
限定100部(シリアルナンバー付き)
特徴
原典に忠実な配石
本能寺三コウの研究等で注目されるプロ囲碁棋士 桑本晋平氏による校訂のもと、判読困難な配石や注釈文も丁寧に読み解き、新たに図を書き起こした。
変体仮名が混在する奥書は、現代仮名遣いで再現した。
問題図の題名を掲載
過去に出版された『発陽論』では省略されがちだった問題図の題名も、オリジナル版そのままに掲載。
道節因碩先生の広い教養や思想・ウィットを感じられるよう、補遺として注釈文や題名の意味、現代語訳等を掲載した。